「勇気づけ」で自分も他者も個性を伸ばす思考法とは

これまで褒められたことなんて、ほとんどない・・・

私にできることなんて、きっと何もないよ・・・

人からの賞賛や過敏に失敗に反応してしまう人は世の中に多くいるのではないでしょうか。

また、子どもの頃から親にできないところばかりを注視されていたため、新しいことに挑戦する勇気がくじかれてしまうこともあったのではないでしょうか。

そこで、この記事では以下4つを解説します。

・アドラー心理学の「勇気づけ」とは

・アダルトチルドレンは「勇気くじき」の環境で育った

・勇気づけは、自分のためにも他者のためにも活用できる

・横の関係を築く、主張的な自己主張とは

あなたがこの記事を読むと、勇気くじきの環境が不健全であったことに気がつけます。

さらに実践すると、対等な人間関係を築けるようになり、自他ともに個性を伸ばす環境づくりを整えることができるようになります。

アドラー心理学の「勇気づけ」とは

アドラー心理学は全体を通して、「勇気づけの心理学」といわれています。

別の記事で解説していますが、アドラー心理学は、原因ではなく、”未来”に目を向けている時点で、失敗に対して敏感に反応しすぎることをしません。

むしろ、一歩前進のために背中を軽く押す役割をしてくれます。

勇気づけの目的は、複数の著書をもとに結論を出すと、「人それぞれの個性を伸ばすため」だと分かります。

そして、自身や他者に勇気づけする際に用いられるのは「尊敬」です。

尊敬は、その人が、その人らしく成長発展していけるよう、気づかうことを意味します。

勇気づけを理解すると、対人関係トラブルの減少や困難を克服する活力、それぞれの個性を引き出す&伸ばすサポートができます。

アダルトチルドレンは「勇気くじき」の環境で育った

勇気づけの対義語には、「勇気くじき」という言葉があります。

勇気くじきとは、冒頭の女性が賞賛に固執しているように、かつて親や養育者から、過程ではなく、結果ばかりに注目されてたり、否定的な言葉ばかり浴びさせられることの総称をいいます。

アダルトチルドレンの多くは、この「勇気くじき」を子どもの頃から無遠慮に浴び続けてきたことで、これまでの習慣にない新しい取り組みに挑戦することを酷く恐れてしまうのです。

勇気づけと勇気くじきの比較表を以下に添付するので、意識して見るようにしてみてください。

(引用元:野田俊作 著『勇気づけの方法』p.27)

勇気をくじくメッセージは思い当たる部分があるのではないでしょうか。

言い回しひとつで与える影響に違いがあることに気づけていただけだと思います。

勇気づけは、自分のためにも他者のためにも活用でき

前述した表のメッセージは、主に他者に向けた言葉掛けになりますが、勇気づけは”自分のために”活用することもできます。

たとえば、仕事や家庭でとても疲れているときや、仕事仲間や友達とケンカをしてしまったときに自分への勇気づけを活用するのはいいタイミングです。

具体的なメッセージについては先の表をもとに後ほど、まとめておきます。

そして、前述した表では具体的なメッセージに着目しましたが、他者を勇気づける際にはいくつか注意点があります。

それを含めて、それぞれ次で詳細を解説します。

自分のための勇気づけ

自分のための勇気づけを行う場合は、自身に元気がないときに行うのが効果的です。

たとえば、以下のような複数の状況に対しての勇気づけメッセージはこのようになります。

・仕事上でケアレスミスをしてしまった場合

⇒自分への勇気づけメッセージ:「以前より、ミスした箇所が少なくなってる!」「さらにミスを減らすにはどうしたらいいかな?」

・友達にドアスラムされた場合

(※ドアスラムとは、それまで良好だった関係を突然シャットアウトする行動のこと)

⇒自分への勇気づけメッセージ:「謝っても許してくれないのなら、価値観が合わなかったってことだね」「唯一の友達というわけではないのだから絶望するほどではない」「次から相手の立場に立って共感して話を聞こう」

・目標まであと一歩というところで手が届かなかった場合

⇒自分への勇気づけメッセージ:「私は充分、努力した」「これを糧に次こそ目標達成するぞ!」

ポイント

・仕事や家族、友人間で落ち込むようなことがあったら、マイナス面ではなく、”プラスの側面”を探し、自分を勇気づけることがポイントです。

他者のための勇気づけの注意点

勇気づけは、勇気くじきよりは感謝されることが多いですが、それでも、「おせっかい」に感じてしまう人もなかにはいます。

そこで、ここでは他者に対して行う勇気づけのベストタイミングや、おせっかいにならないような言葉掛けについて解説したいと思います。

まず、他者への勇気づけのベストタイミングは、対象者が適切な行動(勇気づけに該当する行動)をしたら、できるだけ早い機会に勇気づけると良いです。

経験がある人もいるかもしれませんが、数日経ってから後出しで言われても、その出来事を忘れてしまっている等で、実感が湧かないケースがありうるからです。

そうした状態を避けるためにも、気づいたらすぐに勇気づけをするといいでしょう。

それから、相手が勇気づけを欲している場面、ほしがっている場面ですかさず勇気づけること。勇気づけをほしがっている場面というのは、たとえば何かを達成してとてもうれしそうにしているとか、逆に何かに失敗してとても悲しそうにしているとか、そのような場面ですね。そのときにすかさずすること。

引用元:野田俊作 著『勇気づけの方法』p.58

けれども、タイミングをのがすことだってありますよね。タイミングをのがしてしまったからといって何もできないのではなくて、たとえ4日前の朝起きであっても、言わないより言った方がましだと思います。

引用元:野田俊作 著『勇気づけの方法』p.58

次に、勇気づけが「おせっかい」にならないようにする配慮のしかたについて解説します。

別の記事で詳細を解説していますが、勇気づけには「課題の分離」の考え方が必要になります。

(課題の分離とは、自分と他者の課題を分離し、お互いの課題に土足で踏み込まないことです。)

そのため、あらかじめ相手に、以下のような問いかけをして、課題の分離をしておきましょう。

「なにかしてほしいことある?」とか「言ってくれたらできることしますよ」とかいうように問いかけたい。「何かしてほしいことある?」と聞いて「別にいい」と言ったら、何もしなければいい。

「ほんとうは、こんなことしてほしいんでしょう?」なんてメニューは出さないこと。

ーーただ「してほしいことがあったら、言ってちょうだい」と言うのはよい。

引用元:野田俊作 著『勇気づけの方法』p.136

日本の昔ながらの「察して文化」が根強くあるせいか、はっきりと言葉にして伝えるのをよしと考えない人が現代でも多いです。

ですが、その察して文化で、スムーズに意思疎通ができればよいですが、どちらかというと曖昧な表現で対人トラブルの要因になっているので、改めることを考えてみてもいいのではないでしょうか。

次の項では、相手を尊重しつつも自分の要望を伝える方法について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください!

横の関係を築く、主張的な自己主張とは

主張的な自己主張とは、自分の要求をはっきりと言葉にしつつも、相手を傷つけないよう配慮してコミュニケーションすることです。

そして、主張的な自己主張には5つの具体的なテクニックがあります。

主張的な自己主張の反対に位置する、攻撃的要求行動として比較して解説します。

(引用元:野田俊作 著『勇気づけの方法』p.71)

【表の補足】

論理的⇔詭弁的

我々が一番よく使う詭弁は、自分の主観的な意見にすぎないものを、あたかも事実であるかのように言うというやり方です。ーー自分の主観的な意見は意見として言おう、そしてその意見に対して自分で責任を持とうということです。

つまり、勇気づけメッセージの比較表にあった「意見言葉」を活用して表現していただけませんか、ということです。

論理的⇔詭弁的

それから、論理的であるということは、妥協案を探そうということでもあります。何が何でも自分の意見を100%認めさせようとするならば、我々は必ず感情的になります。要求の全部がもし通らないとすれば、そのいくからでも通してもらえるように努力しましょう。全部通らないならばと諦めたほうがまし、100でないならば0のほうがましというふうに決して考えないで、40でも50でも譲歩を勝ちとれるようにしましょう。

責任ある権利主張⇔無責任な権利主張

主張的な自己主張は、自分だけに主張する権利があるのではなく、等しく、相手にも主張する権利があります。

そのため、自分の要求を相手が断ったとしても受け入れることが大切です。

また自身の主張に対して責任をあらかじめ持っておくことも大事です。

たとえば、部下に多すぎる仕事量を任せる上司がいますが、期限までに捌ききれずに疲弊している部下にダメ出ししたり、知らない顔をするのではなく、自身の主張に責任を持って、仕事をサポートする必要があります。

このように、自身の主張に対し、相手が受ける影響も考慮して行動できると、場合によっては感謝してもらえることもあります。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は、アドラー心理学の「勇気づけ」について解説しました。

勇気づけの本来の目的は、人それぞれの個性を伸ばすことでしたね。

そして、そのためには相手を尊敬すること、横の関係を築くことでした。

勇気をくじくメッセージばかりを長い間聞き続けてきたアダルトチルドレンにとって、勇気づけのメッセージを受け入れるには少し時間がかかることでしょう。

私もそうでした。

しかし、少しずつ自身のマインドを落ち着かせるようになっていくと、次第に受け入れるようになっていきます。

勇気づけのメッセージも、最初は受けつけがたかったけれど、温かみのある言葉なのだと気づきました。

自身のため、他者のために勇気づけして前進できるように、当ブログの全体を通して、なんどでもアドラー心理学の思考法(5つの理論と4つの思想)を頭にインストールしていってくださいね!

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