自分には居場所なんてないんだ・・・
いじめや他者からの批判を受けると、自分の居場所はないのではないか、と不安になることがありますよね。
そうしたときに心の支えとなってくれる考え方がアドラー心理学にあります。
そこで、この記事では以下の4つを解説します。
・アドラー心理学の「共同体感覚」とは
・共同体感覚を得ることのメリット
・共同体感覚を高めるには
・小日向葵が考える、アダルトチルドレンが共同体感覚を身につけるには
あなたがこの記事を読むと、仮に仕事場で居場所を失っても、必要以上に不安になることは少なくなります。
さらに実践すると、自ら価値を見出して居場所をつくり、自己重要感を満たすことができます。
アドラー心理学の「共同体感覚」とは
アドラーは「人間は弱く生まれたから、協力することを覚えた」といいます。
そのため、他者と協力して生き延びる「共同体感覚」が人間には大切であるといいます。
そして、アドラーのいう「共同体」とは、学校や家庭、仕事に限らず、宇宙や過去・未来、生物から無生物も含むといいます。
(小日向アイコン)「宇宙まで広がると、なんだかイメージがしづらいものです。
言い換えると、共同体は「無限大」ということです。
たとえば、定年退職をした途端に元気をなくしてしまう人がいます。会社という共同体から切り離され、肩書きを失い、名刺を失い、名もない「ただの人」になること、すなわち「普通」になることが受け入れられず、一気に老け込んでしまう。
でも、これは単に会社という小さな共同体から切り離されただけにすぎません。誰だって別の共同体に属しているのです。なんといっても、われわれのすべてが地球という共同体に属し、宇宙という共同体に属しているのですから。
岸見一郎・古賀史健 著『嫌われる勇気』p.190
文末にかけて、難しい表現が出てきたのでイメージしやすい文章に言い換えると、
上記の定年退職した人は、会社という共同体以外にも、昔なじみの友達と再度交流することで所属感を得たり、もしくは新しい趣味などを作って、コミュニティに属することもできる、ということです。
所属感とは、様々な組織や集団の一員であることに誇りをもつこと。
また、学校で馴染めなかった場合(いじめや友達ができない、授業についていけない等)は、以下の考えを取り入れるといいです。
学校こそがすべてだと思っていると、あなたはどこにも所属感を持てないことになります。そしてより小さな共同体、たとえば家庭のなかに逃げ込み、そこに引きこもったり、場合によっては家庭内暴力などに走る。そうすることによって、どうにか所属感を得ようとする。
しかし、ここで注目してほしいのは「もっと別の共同体があること」、特に「もっと大きな共同体があること」なのです。
学校の外には、もっと大きな世界が広がっています。そしてわれわれは誰しも、その世界の一員です。もしも学校に居場所がないのなら、学校の「外部」に別の居場所を見つければいい。転校するのもいいし、退学したってかまわない。退学届一枚で縁が切れる共同体など、しょせんその程度のつながりでしかありません。
岸見一郎・古賀史健 著『嫌われる勇気』p.192
現代ではSNSが主流となっているので、リアルな友達よりもネットの友達との交流が多いという人もいるでしょう。それこそが「学校以外の共同体」になります。
共同体感覚を得ることのメリット
さて、ここでは共同体感覚を得ることのメリットを解説します。
ですが、その前に共同体感覚を得られなかった場合で、アドラーが残している言葉があるので、そちらを以下に引用します。
「人生の諸問題に取り組むわれわれの気分は、次のような確信をまとめられよう。問題行動をする子ども、犯罪者、神経症者、精神病者、アルコール依存症などは、勇気をくじかれているからこそ共同体感覚も欠落しているのである」
岩井俊憲 著『人生が大きく変わる アドラー心理学入門』p.188
共同体感覚ーーつまりは、周囲のサポート(愛情、友情、支援)を得られなかったことにより、精神面が未熟なまま育ち、自己否定感に苛まれ、場合によっては上記のような状態になって生涯を終えてしまう人がいることがわかります。
一方で、共同体感覚を得ることのメリットは以下になります。
人は「わたしは共同体にとって有益なのだ」と思えたときにこそ、自らの価値を実感できる。共同体、つまり他者に働きかけ、「わたしは誰かの役に立っている」と思えること。
他者から「よい」と評価されるのではなく、自らの主観によって「わたしは他者に貢献できている」と思えること。
そこではじめて、われわれは自らの価値を実感することができるのです。
岸見一郎・古賀史健 著『嫌われる勇気』p.206
共同体に対して、なにか貢献できることが自らの価値観、自己重要感を高められるといいます。
ですので、共同体で活かせる自分の強みというのは欠かせないことがわかりますね。
でも、自分の強みなんてないよ
大丈夫です。最後まで、この記事を読んでもらえれば、自分の強みも共同体感覚もどっちも見つけられるヒントがわかります
共同体感覚を高めるには
ここでは共同体感覚を高めるために必要な4つの前提要素と、共同体感覚と関連のある、他のアドラー心理学の考え方「課題の分離」の位置づけをまとめます。
共同体感覚を高めるために必要な4つの前提要素とは
4つの前提要素とは、以下になります。
・自己受容(そのままの自分を受け入れていること)
・他者信頼(相手を協力しあえる対象と思えること)
・所属感(自分の居場所を感じていること)
・貢献感(人の役に立てると思えること)
これらが備わった状態でコミュニティにいれば、”共同体感覚を持っている”ことになります。
「課題の分離」の位置づけ
別の記事で、共同体感覚と同様に人間関係に関する考え方「課題の分離」について解説していますが、この課題の分離は共同体感覚においてどのような位置づけにあるのかを明記しておきます。
※課題の分離とは、「自分の課題」と「他者の課題」を分けて考えることで、他者の課題に土足で踏み込まないこと、もしくは自分の課題に踏み込ませないことをいう。
一見、「課題の分離」と「共同体感覚」は真逆な位置にいるように感じますが、アドラー曰く、課題の分離がスタート地点で、共同体感覚がゴールであるといいます。
そして、課題の分離と共同体感覚を繋ぐのが「横の関係」です。
(青年)最初に課題を分離する。私の課題はここまでで、ここから先は他者の課題だと考える。他者の課題に介入しないし、わたしの課題にも介入させないと線を引く。この「課題の分離」からどうやって対人関係を築き、最終的に「ここにいてもいいんだ」という共同体感覚まで至ればいいのです?
(哲人)課題の分離をすることが、どう良好な関係につながるのか? つまり、どうすれば互いに協調し合って、協力し合うような関係につながるのか?ここで登場するのが「横の関係」という概念になります。
ーー(中略)ーー対等すなわち「横」です。たとえば、専業主婦の方に「なんの稼ぎもないくせに」とか「誰のおかげで飯が食えると思っているんだ」と罵る男性がいます。「金銭的になんの不自由もさせてないのに、なんの不満があるのか」といった話も聞きますね。なんと情けない話でしょうか。経済的に優位かどうかなど、人間的な価値にはまったく関係ない。会社員と専業主婦は、働いている場所や役割が違うだけで、まさに「同じであるけれど対等」なのです。
岸見一郎・古賀史健 著『嫌われる勇気』p.195
上記のような専業主婦と夫の関係性は「縦の関係」です。
縦の関係とは、上下関係のことをいいます。
実は、褒める・叱るも縦の関係によって生じると、アドラーは言います。
人が他者をほめるとき、その目的は「自分よりも能力の劣る相手を操作すること」なのです。
岸見一郎・古賀史健 著『嫌われる勇気』p.198
一方、「横の関係」はどういう状態かといいますと、感謝・尊敬し合える関係です。
小日向葵が考える、アダルトチルドレンが共同体感覚を身につけるには
これまで機能不全家庭に育ってきたアダルトチルドレンにとっては、この共同体感覚というのは、あまり理解しがたいものだと思います。
ですが、あなた自身が現在の生きづらさから脱却することができれば、その過程で身につけてきた思考や経験が自信になります。そして、それが強みになります。
私は、毒親育ちのため、毒親育ちのアダルトチルドレン向けに情報を発信していますが、別の切り口で役立つ情報を求めている人に向けて発信するのもアリだと思います。
たとえば、配偶者もしくは恋人からDV(ドメスティックバイオレンス)を受けてきた経験があり、そこからの脱却が成功しているのなら、その経験をもとに必要としている人に発信できれば、それも「共同体感覚」を身につけたことになります。
でも、みんなが同じことをしたら、情報も似通ってくるものじゃない?
丸パクリをしない限り、全く同じということはそうそうあるものではありません。
(もちろん、パクリは厳禁です。)
人それぞれ着目する点は異なるし、経験も千差万別です。
また発信のしかたについて、たとえば文章の書き方から滲み出る人間性も様々です。
ロジック的な文章を書く人もいれば、人に寄り添える文章を書く人もいます。
さらには親しみやすい文章を書く人もいるでしょう。
役立つ情報を求めている人たちが、自身の感覚をたよりに、上記の人間性から自分に合った人から情報収集して問題解決をしているのですから、発信源は多いほうがいいと思っています。
ですが、自分の言葉で発信することが重要です。
前述したように、人間性とは、その人がこれまで実際に経験したことによって形成されているからです。
また、自分の体験を自分の言葉で発信するとは、すなわち他者貢献に繋がり、自身の居場所づくりにもなります。そして最終的に自己重要感を満たすことができます。
自己否定感に苛まれるアダルトチルドレンにとって、自己重要感、つまり自らの価値観を実感できるのはとても喜ばしいことではないでしょうか。
ちなみに私はブログで自身の経験+知識を発信してから、充実感を得るようになりました。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、アドラー心理学の「共同体感覚」について解説してきました。
はじめて共同体感覚を知ったとき、イメージがしづらくて困ったのではないでしょうか。
ですが、その後に、共同体の規模が大きいほど、学校や家庭、仕事場で居場所を失っても、自身の居場所はほかにもあるんだ、と励まされたのではないでしょうか。
子どもの頃を思い返すと、この知識(アドラー心理学)があったらよかったのに・・・と思いを巡らす人もなかに入ると思います。
ですが、これからの人生でアドラー心理学を役立てていけばいいでしょう!
現状を打開したいアダルトチルドレンは何度でも繰り返し、当ブログの記事を読み返してください。
必ず、あなたの役に立つはずです。